Chikar Studio////OKI Information//////////////2002.10.31/////特別編//              ★こんにちは!チカルスタジオより最新のオキ・ウメ子・マレウレウ情報のお届けです ★「OKI Information」の購読を中止されたい方は(http://tonkori.com/contact/index.html)で解除が可能です。 //////////////////////////////////////////////////////////////////// ●この夏、OKIは非政府組織・ピースボートの招きにより、8/22〜30の日程で カラフト〜クナシリ〜エトロフを旅しました。同団体の「国後島に査証(ビザ) なし上陸」のニュースは、新聞等でも大きく取り沙汰されたので、ご存じの方 も多いはず。 ●古くはアイヌの人々が暮らし、自由に行き交っていたカラフト、千島列島。 しかし時は移り、今は「禁制の島(forbidden islands)」。領土問題の影でめ ったに語られる機会のない島の姿、空気に初めて接したOKIがその体験を手記 にまとめました。 ●今回の旅の記録は、いずれきちんとした形で発表する予定ですが、まずはク ナシリ島での体験記(part1)、帰国後の回想記(part2)を本メルマガ特別編 としてお届けします。 >>>>>>>>>>>>>>この文章は、OKIがピースボートの船内誌に寄稿したものです。 #part1 【アトゥイ ソー カタ 〜海の上で】-text by OKI  夜明け前、船はクナシリとエトロフの間の水路を静かに進む。誰の眠りも妨 げない静けさだ。燠火のような朝焼けを背にエトロフ島が姿を現す。200年前 のアイヌが見た景色と何一つ変わらない。変わったのは人の心、そして今二つ の島影とそこにいあわせる自分がいる。島と私の沈黙の対話は続いた。やがて 前方の一点から霧がわきあがり、クナシリのチャチャ岳はゆっくりとしかしす ばやくその姿を消した。島はカムイ(神々)の姿そのものだった。  クナシリのフェスティバル(*1)。100年ぶりのアイヌのうたは人のざわめ きと溶け合う。演奏のあと、大きな男が話しかけてくれた。言葉は分からない が、握手をした手の力強さに彼の気持ちがわかった。ミュージシャンとしては 嬉しいひととき。ウラジオストックから来ている若い女の人達にサインをして いると、再びやってきた男が小さな黒い三角形のようなものをさしだした。精 巧に作られた黒曜石の矢尻だった。空にかざして見ると、矢尻の刃の部分は半 透明の緑色をしていた。島の遠い先祖からの贈り物であることを直感した。矢 尻はこの島に私が再び訪れることを語った。それは島との約束なのかも知れな い。  私がこの地を訪れる自由を誰も邪魔できない。なぜなら小さな矢尻は大きな 熊を倒す。この日の晩、眠りにつく直前に私の祖父の名を思い出した。それは、 トゥアカンノ、一本の矢という意味だ。 (*1)ムネオハウス前にあるレーニン広場で、島民との交流を目的に催された イベント。他にソウルフラワーの中川敬、山口洋などもライヴを行った。 【次号 part2に続く】 =============================*Chikar Studio*==== *お問い合わせ、ご意見、ご要望は下記のメールまでどうぞ        E-MAIL: mail@tonkori.com OKI's WEBSITE: http://www.tonkori.com ==================================================